老後2000万円問題

金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」の報告書では、「老後3年間で約2000万円が不足する」と受け取れる試算が示されています。この「老後2000万円問題」に対応する為には、若いうちから生涯のライフ・マナープランを考え、老後にどのように資産を取り崩すかシミュレーションするなど、早期に対策を始めることが重要だと言えます。

とはいえ、「試算形成」といわれても、具体的に何をすればいいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。代表的な試算形成の手段としては、働けるうちはなるべく長く働き、コツコツと節約、貯蓄をしておくことが挙げられます。さらに、長期的に資産を運用する「積立投資」への挑戦も検討したいところです。

本記事では、老後2000万円問題を踏まえて、若いうちから始めたい長期的な試算形成の方法について解説します。

★老後2000万円問題に対応するには長期的な資産形成が必要

◎資産形成に役立つ魅力的な制度

資産形成に役立つ魅力的な税制優遇制度として、NISA・つみたてNISA・iDeCoをご紹介します。

●NISA・つみたてNISA

NISA(少額投資非課税制度)は、日本に在住している20歳以上の個人投資家向け税制優遇制度です。NISA口座で運用している株式・投資信託などの譲渡益や配当金・分配金は非課税になります。

ただし、「1人1口座」「非課税投資枠は最大600万円(新規投資額で毎年120万円が上限)」「非課期間は5年間」と言った制限に留意しましょう。また、上場株式の配当金・ETFREITの分配金は、配当金の受け取り方法として「株式数比例配分方式」を選択しなければ非課税にならない点にも注意が必要です。

つみたてNISAは長期・積立・分散投資を支援するための個人投資家向け税制優遇制度です。一般NISAと同様に日本に在住している20歳以上の個人が利用できます。譲渡益や分配金は非課税ですが、投資対象は金融庁が認めた投資信託のみです。なお、「1人1口座」「非課税投資枠は最大800万円(新規投資額は毎年40万円が上限)」「非課税期間は最大20年間」といった制限があり、一般NISAと異なっているので注意してください。

iDeCo

iDeCoとは、自分自身で決めた金額(掛金)を積み立てて運用し、資産を形成する個人型確定拠出年金です。国民年金や厚生年金との組み合わせで豊かな老後の実現を支える私的年金制度であり、iDeCo加入者が拠出した掛金額は全額、小規模企業共済等掛金控除として所得控除の対象となり、所得税・住民税の軽減につながります。ただし、原則として60歳まで運用する資産を引き出すことはできません。

税制面で大きな優遇を受けられるので、老後の公的年金(国民年金や厚生年金)の支給額に不安を感じる方はiDeCoに加入してみてはいかがでしょうか。掛金の額を自分で決められるので、無理なく老後資金を積み立てられます。