サグラダ・ファミリア

サグラダ・ファミリア(カタルーニャ語:Sagrada Familia)はスペインのバルセロナにあるカトリック教会のバシリカである。聖家族贖罪教会(カタルーニャ語:Temple Expiatori de la Sagrada Familia)という正式名称をもつ。日本語では聖家族教会と呼ばれることもある。

サグラダ・ファミリアは、カタロニア・モダニズム建築の最もよく知られた作品例であり、カタルーニャの建築家アントニ・ガウディの未完作品である。バルセロナ市のシンボルであるこの建物は、綿密に構成された象徴詩的なシンボロジーと共に、パラボリックな(放物線状の)構造のアーチや、鐘楼に据えられた自然主義と抽象主義の混在する彫刻などで、大胆な建築様式を誇っている。2004年の統計によれば、サグラダ・ファミリアアルハンブラ宮殿マドリッドプラド美術館を抜いてスペインで最も観光客を集めたモニュメントとなり、2019年には470万人を集めた。生前のガウディが実現できたのは地下聖堂と生誕のファサードなど、全体の4分の1未満であるが、これらは2005年に「アントニ・ガウディの作品群」を構成する物件としてユネスコ世界文化遺産に登録された。贖罪教会なので、資金調達は信者の喜捨に頼ってきた。資金不足により工事がなかなか進まなかったが、1990年代以降に拝観料収入が増えて資金状況が好転した。

2011年10月7日にサグラダ・ファミリアを訪問した教皇ベネディクト16世がミサと聖別(聖堂に聖水を注ぐこと)を行ったことにより、サグラダ・ファミリアはバシリカとなった。教皇によるミサには司教ら6500人が参列し、800人の聖歌隊が参加した。

9代目設計責任者のジョルディ・ファウリは、2013年にガウディの没後100年にあたる2026年に完成予定と発表しているが、2020年に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的に大流行した影響で、スペイン国内でも感染拡大防止のためロックダウン(都市封鎖)が行われ工事中断を余儀なくされたほか、建設のための重要な資金源である喜捨やチケット収入が大きく減少したことから、完成が遅延されると見られている。

2021年12月、全18基が予定されている尖塔のうち9基目、完成済みの尖塔としては最も高く(138m)全18基の中でも2番目に高い塔となる聖母マリアの塔が完成した。これ以前の最後の尖塔完成は1976年であり、45年ぶりの尖塔完成となった。

彫刻家の外尾悦郎が1978年から従事しており、2013年からは主任彫刻家として全体を仕切っている。